ゆう

diary

第12話 冬の青空

冬の空は、鋭い。吸い込む空気は冷たく、肺の奥まで洗われるような感覚。 週末の午前、僕は少しだけ丁寧にブラッシングしたネイビーのウールコートを羽織る。派手さはないが、袖を通すたびに自分の肌に馴染んでいくのを感じる、上質な一着。そんな、飾らない...
diary

第11話 初雪とお餅

今朝、窓の外を眺めると、空から白い粒がひらひらと舞い降りてきた。初雪だ。45年という月日を生きてくると、雪に対して抱く感情も変わってくる。若い頃は、デートの約束が雪で台無しになるのを恐れたり、慣れない雪道の運転に神経を尖らせたりしていた。け...
diary

第10話 フライドポテト

仕事で大きな契約が取れた日の夜、僕は少し羽目を外したくなった。普段なら、行きつけのバーで一人静かにウイスキーを傾けるところだが、その日は、何故か彼女と騒ぎたかった。「お祝いだ。今夜は僕が奢るから、食べたいものを何でも言ってくれ」僕がそう言う...
diary

第9話 彼女の寝顔と眼鏡

週末の昼下がり、僕はリビングのソファで本を読んでいた。活字を追うこと自体は、普段の仕事と変わらないが、この時間は何にも追われることのない、僕だけの静寂だ。ふと、顔を上げると、隣のソファで彼女が眠っていた。膝には読みかけの本が開きっぱなしで、...
diary

第8話 逢えない日々

会議室の窓の外は、もうすっかり暗い。資料の山と、鳴りやまないメールの通知。立場上、年に数回、どうにも抜け出せない「戦場」のような日々が訪れる。そして、今がまさにその時だった。彼女と会えない日々が、もう一週間になる。いつもなら、仕事終わりに「...
diary

第7話 雲と綿あめ

休日の午後、天気予報は晴れ。僕たちは、ただなんとなく、大きな公園に出かけた。芝生にシートを広げ、僕は本を開き、彼女はスマートフォンをいじる。そんな、何をするでもない時間が、一番贅沢だと感じるようになったのは、いつからだろう。ふと、彼女が隣で...
diary

第6話 バイク

週末、ガレージのシャッターを開ける。そこに鎮座しているのは、僕が長年愛用しているバイクだ。若い頃、仕事で成功することだけを考えていた。でも、その成功の先に何があるのか、僕はまだ知らなかった。そんな時、バイクだけが僕を自由に解き放ってくれた。...
diary

第5話 秋とコーラ

秋の夕暮れは、少しばかり感傷的な気分になる。空は高く澄みわたり、風はどこか冷たい。会社からの帰り道、すっかり日が落ちた街を歩く。夏が過ぎ去った寂しさと、これから来る冬への期待が、混ざり合ったような不思議な季節だ。いつものように、仕事終わりに...
diary

第4話 サンドイッチ

朝、少しだけ早起きをして、彼女の朝食を作る。会社員時代から、朝は忙しく、食事はいつも適当に済ませていた。コーヒーを一杯飲んで、あとはコンビニで買ったおにぎりやパンをかじって、慌ただしく出社する。そんな生活を何十年と続けてきた。でも、彼女と暮...
diary

第3話 コロッケの誘惑

週末、彼女と二人で近所の商店街を歩くのが、最近の楽しみだ。普段はなかなか訪れることのない場所。活気あふれる声、立ち込める美味しそうな匂い、そして行き交う人々の笑顔。どれもが僕の心を、仕事のオンからオフへと切り替えてくれる。「あ、コロッケだ!...